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 落合引退発表時の天声人語 

1998年、落合引退発表時に朝日新聞の天声人語で取り上げられた“落合評”。10年前の記事を現在の視点で振り返るのは、後出しジャンケンのようで悪い気がするが、当時この文面を読んだときも実は違和感があった。
天下の朝日の看板コーナーの文章としていかがなものか。落合を変わり者でまとめてしまうあたり、筆者の「オレは認めんよ」的オーラがプンプンしている。



天声人語

プロ野球の落合博満選手が引退した。現役青年長の四十四歳。ロッテ、中日、巨人、日本ハムの四球団を歩き、三冠王が三回。日本人で初めて、年俸「一億円」と「三億円」の選手になった。
引退を決意した理由は?「そんな難しい質問はしないでください」。決意はいつ?「別にこの場でいうことじゃない」。記者会見にはこんな場面もあったらしい。愛想もなにもないけれど、それが落合流でもある。「勝ちゃいい。それだけです」が、この人の野球哲学だった。
大学の野球部を退部したのは「球拾いがバカらしくなった」からだし、ついでに大学もやめてしまった。開幕前の調整も自分流を通した。現役のうちに、自分で「落合記念館」(和歌山県太地町)なるものをつくった。プロ野球労組選手会は脱退。2000本安打で資格ができた「名球会」入りも拒んだ。
チームプレーに向くとは、到底いえない。言動は「和」ということばから遠く離れていた。ただし、それもこれもグラウンドで素晴らしい成績をあげたから、許された。たぐいまれな才能と、そして努力の人だった。健康には細心の注意を払い、十時間以上の睡眠を厳守した。生涯打率3割1分1厘。打撃の面で残した数字は輝かしい。
若いころ打撃フォームをめぐって、かつて強打者だった監督とぶつかった。監督の教える打ち方は自分には向かない、と断固はねつけた。独特のフォームは自ら編み出したものだ。一事が万事、この調子。記録にせよ報酬にせよ、数字と自分がすべて。ここまで徹底すれば、いっそすがすがしい。
記者会見で彼は「自分のような選手が1人でも出てくると、プロ野球はもっと面白くなる」と語った。むろん落合ほどの「天才的異端者」は簡単には現れないだろう。が、いまの世の中、落合ふうの「個性派」が少しずつ出てきそうな予感もする。

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落合ふうの「個性派」はむしろいまの世の中、出にくいのではないか。人と違ったことをやるが、能力に裏づけされているからOK。これからこの手の若者がいっぱい出てくるんじゃないの? という薄っぺらな思考。
個人的には常識とされていることに平然とダメ出しをできるぶれない視線を言及してほしかった。しかも野球部退部を「球拾いがばからしくなった」からって…(笑)。事実の裏に張り付く真意を見るのが記者の仕事ちゃうんか。



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